「自分の気持ちに正直にな」
ロータスで子ども達に散々言ってきた言葉。
今は自分自身にブーメランのように返ってくる。保護者であり、既婚者である女性を好きになってしまったなんて、一体誰に話せるでしょうか
誰にも相談出来ませんでした。
職場はもちろん、お互い近くに住んでるだけに僕らを知ってる人が沢山います。
「誰にも言わないでね」
そう言って相談したら最後。人のスキャンダルほど話したいものはありません。あっという間に噂なんて拡がってしまう。
それにお互いに好きと言ってしまったら最後。
歯止めが効かなくなることは明白です。
僕達はカラクリを知ってしまったからこそ、もうそれ以上踏み込めなくなってしまった。
それでも日に日に大きくなる彼女に対する気持ちを、これ以上封じ込めておくことは出来ませんでした。僕はこっそり彼女に手紙を何通も書きました。それはもう久しぶりに本気で手紙を書きまくった。何通手紙を書いたところで、僕らの関係は進まないというのに…
僕はハッキリとしないこの関係に、すっかり憔悴し切っていました。今までのチャラい僕だったら脈が無いとわかった途端、すぐに気持ちを切り替えて次の女性を口説きに行ってます。こんなに一人の女性に想いを寄せたのは初めての経験でした。
諦められない…
何があっても諦めてはいけないと、細胞全部が伝えてくる。それでも脳みそは全力でストップをかけようと必死になっている。身体と心がバラバラな日々。
あまりに酷い顔をしていたんでしょう。
彼女が心配して朝日を見に行こうと誘ってくれました。僕らはまだ誰もが寝ている早朝に海に出かけ、ゆっくりと浮かび上がる朝日をただただ見ていた。

こんなにも美しいものを、何故今まで見落としていたんだろう…
朝日をゆっくり眺めるなんて何年もしてませんでした。自分の感情がジェットコースターのように乱高下し、時間が矢のように過ぎ去っていました。本当に大切なものを見落としてしまっていた、、
自然の教えを子ども達に伝えたいとフリースクールを始めたはずなのに、自分が一番人間社会に翻弄されていたんです。
太陽は何があっても毎日登り、同じところに沈んでいく。人間がどれだけ悩みを抱えても、愛し、憎しみ合ってもその法則は変わらない。自然の摂理。
自分は何てちっぽけなんだろう…
そう気付いた時に、前に彼女が言っていた
「すべては最高最善のカタチに収まる」という言葉がストンと腑に落ちました。
そうだよ、社会の法律なんかより、宇宙の法則に従おう。
今はまだ太陽が登ったばかり。
好きだの何だの言う前に、お互いの事をまだ何も知らない。焦らず少しずつ知っていけばいい。
全てのものはあるべきところに収まっていくのだから。
つづく