西尾市で自然農園を営んでいる星野さんにお会いしてきました。有機野菜やオーガニックという言葉は皆さんも馴染みがあると思いますが、自然農園は完全無農薬、肥料も一切使わない、土も耕さないというのが特徴です。
実際に生で見るのは始めてで、僕は今での人生観が変わるほどのインパクトを受けました。
失礼ながら遠目から見ると雑草ボーボーで、一見なんの手入れもされていない畑のように見えます。
しかし実際にお話を伺うと、沢山のこだわりが詰まった素晴らしい畑でした。
プラスチックやビニールでできた支柱や柵なども一切使わない。紐でさえ麻紐を使う徹底ぶりです。
人工的な肥料も一切使わず、その土地の持っているありのままの素材で作物を育てます。雑草も刈りすぎず、かといって放置しすぎずの絶妙なラインで草を刈らなければいけません。もちろん農薬も一切使わないため、虫に食われてしまうこともあります。しかし本当に健康な野菜は虫も食べないらしいです。
野菜が出来るまではとてつもなく、手間と時間がかかります。
自然農園では出店できるほど一度で大量に取れないし、かといって個人で捌くには多すぎるというデメリットがあるため、営利目的では殆どやる人はいないらしいです。
でも実際に食べてみると、その違いは素人の僕でもすぐわかりました。
青臭さは全く無く、味が濃いんです。
見た目はデパートのものに比べると見劣りするかもしれませんが、一度食べたらもう市販の野菜は味気なく感じてしまうほどです。
これが野菜が本来もっている味なのかと感動しました。
僕は春菊が苦手でした。でもここの春菊は全然臭みや癖がなく、本当に爽やかで美味しかったんです。たぶん自然農園でできた野菜を食べ続けたら子ども達の「野菜嫌い」なんて、この世から無くなるんじゃないかな。
その他にも沢山お話をしました。
品種改良を重ね、安くて見栄えだけ良い野菜がどれほど危険か。そして種を独占する闘いが、海外だけだなく日本にも及んでいることも。星野さんの話を聞いて、僕は野菜に関する価値観が180度変わりました。
子どもに対しても同じことが言えると思うんです。
習い事や塾なんて“肥料”を使わなくても、その子がもっているありのままの素材で、十分逞しく育つと思います。怪我やバイ菌を遠ざけて、“無菌状態”にすれば悪い虫も付きません。でもそれで安心するのは親だけです。
子どもも野菜と同じで見た目ばかり育って中身はスカスカになってしまうかもしれません。手をかけ過ぎず、かといって放置しすぎずの自然農園のような保育が必要なんだと思います。
森のようちえんでも自然農園を取り入れて、子ども達に野菜のできる仕組みや、食に対する関心を持ってもらえたらと思います。
給食のように時間になれば勝手に食事が運ばれてくるわけじゃないんです。
野菜を通して人との“つながり”を知ってもらえれば、本当に中身も熟した人間に成長できると思いました。