平日は毎日暇との闘いだった。
こんな事書いたら日々忙殺されている社畜パパさん達に恨まれるかもしれないが、マグロのように常に動いてないと死んでしまう俺からしたら一日中田舎の山の中で行くところもなく時間だけが過ぎていく毎日の方が地獄のようで耐えられなかった。
だからチャラついた先輩と土日は遊びまくった。
毎週末は名古屋に繰り出し、クラブやキャバクラ、合コンやナンパなどとにかく遊びに遊びまくった。でも基本早寝早起き、酒も飲めない、タバコもやらない俺にとっては夜の大人の遊びは正直向いてなかった。しかし「毎週はっちゃけてる俺、ドヤ!」みたいな感じで粋がっていなければやってられなかった。トイレで吐きまくってる自分を鏡で見ては「何やってんだろ、俺…」と時々我に返ってはまた現実逃避するために席に戻って慣れないイッキをした。
結局女遊びも、夜遊びも途中で飽きた。残ったものはサーフィンとスノボ、ロードバイクに山登りと金もかからないアウトドアばかりだった。俺は背伸びしようが結局変わらなかった。
でも唯一夜遊びで大事な人と出会えた。
今の奥さんだ。
先輩との合コンの帰り道、タバコを吸いながら不機嫌そうな顔してバーの前に長身美人が立っていた。俺は呼吸をするようにナンパした。
「お姉さんヒマ?よかったら飲もうよ!え、待ち合わせ?大丈夫、とりあえずお店入ってから考えよう!!一杯奢るからさ」
相手にNOという暇を与えずに見事にバーに誘導した。こんな技術ばかりすぐ上達してしまうから困ったものだ。
一発ヤレればいいかな〜と思っていた女の子だったが、後日2人きりで飲んだら予想に反してめちゃくちゃいい子だった。彼女はタイプだったし、バスケを小学校からやっていて社会人チームをやっているほどの体育会系女子だった。どうやら話しをしていくうちに本気で好きになってしまったようだ。
俺はすぐさま次のデートにナガシマスパーランドに行く約束をした。
ナガシマデートはもうとにかく人生で一番楽しかった。手を繋ぐだけでドキドキして、心臓の音がバレるんじゃないかと思った。
後日花火大会の前日、正座をして真剣に告白した。
「大切にします。俺の彼女になって下さい」
照れ屋な彼女はニヤニヤしながらコクンと頷いた。
その時の俺はまだ知らなかった。
その彼女と
わずか半年で結婚することを